今回のテーマは今後ゲーム会社で画像生成AIは使われていくのか、と言うテーマでお届けしたいと思います。
しゃべりで聴きたい方はYoutubeへどうぞ
僕は長年ゲーム関係の絵の仕事に携わってきましたので、ある程度信頼できると思いますよ。
まず最初に私がゲーム業界でAIが使われる可能性が出てきたと感じたのはMidjourneyが登場した1年前です。
人が描かなくてもここまでのものができるのか、という驚きがあり、ところどころ破綻はしているものの、このまま進化していったらどうなるかとワクワクしたものです。特に1年前の時点でも背景はかなりよく出来ていましたね。
まあ、7年前にレンブラントのAI絵を見た時にはいつかこんな日が来るとは予想していましたけど、ついに来たんだ。
という感じだったんですよね。
その時はもう手描きの時代は終わりつつあるのか、と1週間ほど落ち込みましたね。
そしてその後さらにゲーム業界で使われるのが確信に変わったのがAdobe Fireflyが登場した時ですね。
そして先日、このAdobe Fireflyが商用利用になりました、
このAdobeが商用利用可能にするというのはそれほど大きいインパクトがあることを意味しています。
現に今回のPhotoshopのアップデートで生成ジェネレーティブ塗りつぶしも搭載されましたので、もはや一つのフィルターのような感覚で使用できるようになっています。
これは個人はもちろんのこと、企業で生成AIが解禁されたことを意味しています。
ゲーム業界だけではなく、出版、WEBなど多岐に渡り使われていくことでしょう。
ではテーマごとに一つづつお話ししていきましょう。
ここが一番気になる部分ではないでしょうか。
メインキャラクターでAIイラストは使われるのか?
まず初めに思いつくのがキャラクターイラストです。
よくAIイラストの技術面で言われるのが、解像度が足りない。
差分は作れないだとか、レイヤーがないと厳しい、ちょっとした修正ができないのではないか、と言う意見を耳にします。
しかし、こういう技術的な部分って現状でもほとんど問題なく制作できると思いますね。
素人が作るAIイラストだとこう言う問題には対処できませんが、プロでやっている人達からすると
とても些細な問題です。それなりの工数がかかるとは思いますが社内で解決することはそう難しくはないでしょう。
しかし、技術的に可能だとしてそれが実際にゲームのメインキャラクターで使われるかというと
まあ現状はかなり厳しいと思います。
その理由は3つあります。
一つ目客集めが現状難しい
メインキャラクターに大切なのはビジュアルはもちろんのこと、やはり誰がそれを描くのかと言う部分にあります。
人気のある絵師さんが描いた方が話題にもなりますし、ファンが買ってくれることも期待できます。
ここって今のAIイラストだとできないですよね。
現状AIイラストで手描きのイラストレーターを超えるような人気のある人ってそうそういない。
特にプレステなどで発売するような大きな予算をかけて制作するゲームなら尚更難しくなります。
大きな予算をかけるならそれに見合った収益を上げなければなりません。
メインキャラクターにはそれなりに予算をさきます。ここをケチる意味もありません。
と言うことで現状メインキャラクターに使用するにはそう言う人を集めるという部分が足りないということです。
まあ、まだAIが登場して1年なので、これは仕方ない部分ではあります。
今後人気のあるAIイラストレーター、もしくはサービスが登場すればそれも覆るかもしれませんね。
また実写系AIグラビア、AI美女に関してはAIの方が得意ですので、そういう場面ではあり得なくもないかもしれません。
2つ目は著作権が認められるかは微妙
現在、AIイラストに著作権が認められるかは微妙だということです。
現状、画像生成AIで著作権が認められた事例がありませんので、現状そのまま使うのは難しいでしょう。
なぜ著作権が必要かと言うと、キャラクタービジネスってゲームだけでは完結しないんです。
例えばぬいぐるみやフィギュアなどのグッズ販売であったり、アニメ化や小説化だってありえます。
そこで著作権を持っていないと独占できないですよね。
3つめは保証
画像生成の学習面での不安であったり、保証という部分です。
Adobe Fireflyは生成物による訴訟問題を保証し引き受けるという形で現在、商用利用が可能になりました。
そういう補償型は今後増えてくると思いますが、現状の多くの画像生成AIサービスでは不安が残るといった部分があるでしょう。
これは徐々に使われていくなど、時間と共に解決されていく可能性が高いです。
ということでキャラクターイラストにかぎって言えばかなり現状、難しいことがわかると思います。
しかし、これは大手ゲーム会社などは慎重にならざるを得ませんが、中小企業であったり、かなり小さいプロジェクトの
場合はこの限りではないでしょう。
まずは、そういったところからAIイラストが使われていき、一気に広がるといったパターンもありえますよね。
ただ、写真のようなAIグラビア、AI美少女とった絵柄は現状AIの独壇場なのでそういう場面では使われる可能性は現状でもあると思います。
ではどこで画像生成AIが使われるのか
ではキャラクター以外で現状でも画像生成AIが使われる可能性がある部分はどこなのかというと
誰が描いたのかが重要ではない部分。
例えば背景であったり、テクスチャ、アイテムなんかは誰が描いたかなんて
一般人は誰も気にしないですよね。売り上げにも影響しません。
そしてありふれているだけに手で描いても生成してもさほど変わらないなんてこともあります。
そういう部分はAIが使われてもおかしくはない部分です。
例えば背景制作で質感を出したい。
机の木の質感であったり、壁の質感であったり
そういう部分って今まではPhotoshopのフィルターで制作したり、手で描いたり、素材を使ったり、写真を流用したりしていました。
もちろんこれからもそういう方法で制作されると思いますが、それに
画像生成AIが加わるといった感じです。
それくらい軽い感じで使われるようになっていくと思います。
また背景に関しては現状でもかなり精度高く制作できる部分はあると思います。
例えば一回しか登場しない背景で自然物であればほとんど問題はないでしょう。
おかしいところは加筆修正で対応という感じです。
これで制作スピードが3倍以上になるのであれば十分検討する余地が出てきます。
これって2人分人員をプロジェクトから削減できることにもなりますよね。
工数が減れば予算を下げることができますからね。
何回も登場するような重要なシーンだけ手描きにすればかなり工数を削減できると思います。
という感じでAIがまず使われるところと言えばこういうところからではないかと思います。
まず最初に使ってくるのがどこの会社かは分かりませんが、一度実績が出来てしまえば一気に使われていくと思います。
また、現状でも直接AIが使われずとも、参考資料としてはかなり使えますしね。
就職活動について
おまけで就活についても少し触れておきましょう。
現状ゲーム会社の求人を見る限りでは、提出する作品指定にAIはありませんのでここら辺は表向き変化していないようです。
ただ、明確にこういうのを入れてください。という会社はほとんどないので、ポートフォリオに
何を入れるかは個人の判断に委ねられている現状があります。
基本的にはカラーイラスト、デッサン、ゲーム画面素材などを入れていくのがセオリーですけどね。
でも写真でもお手製の造形物だってありなんです。実力を認められるかどうかが鍵なんで。
ではこれからの時代、AIはどうなんでしょう。
やはりAIも部分的に使用したりすることも今後考えられますのでそういった場合は使った部分には
AI使用と入れておいた方がトラブルも少なくなると思います。
AIを使用することが悪いわけではありませんが、今後の動向などはしっかりとチェックしておく必要があります。
特にAdobe製品に搭載されている機能であればほとんど使っても問題はないでしょう。
特に求人欄にAIやfireflyという記載が出てくれば積極的に制作に活用したいところですね。
とはいえAIだけで就職は無理だと思いますので、基礎画力はあった上での話です。
基礎画力がないとAI画像のどこがおかしいのか、わからないし修正のしようがないですからね。
フリーランスのイラストレーターと会社員デザイナーの違い
次にフリーランスの絵描きと会社員デザイナーの違いについて少し触れておきましょう。
これわりとごっちゃで考えている人が多いんですよね。でもこれ全然別物なんです。
フリーランスの絵描きは自分のイメージがとても重要です。
どういうふうな絵柄なのか、どういうふうに描いたのか、SNSでの評判はどうなのか?という感じです。
ここら辺は芸能人と同じでファンの数や全体のイメージが大切です。
ですのでAIを使うことによってイメージが下がってしまうのであれば使用しない方が良いかもしれません。
そこはケースバイケースです。自分で有利になると思えば使えば良いだけです。
それに対して会社員のデザイナーはどうでしょうか?
雇われデザイナーって基本的に自分で仕事を選ぶことなんてできないんですね。
まあ、会社員なんで当然です。
上司がPhotoshopで色塗ってね、っていう指示だったらPhotoshopで塗らないといけないです。
まあ、選べてもClip studio paintまででしょう。
当然ですよね。上司の指示に刃向かうわけにはいきません。
ですので、上司がAI使ってねって指示だったらAIを使わなければならないでしょう。
勉強しとけって言われたら勉強しないといけないでしょう。
Adobe ファイヤーフライ使ってねって指示だと、使わざるおえません。
いや俺AI使わない主義なんでってフリーランスだと言えるかもしれませんが、会社員だと拒否は
基本できないんですよね。
そういっちゃうと「使えない人材だなぁ」ってことになっちゃいます。
つまり、会社員のデザイナーってできることが多いほど良いんですね。
できないことよりできることが多い方が良い。
当然ですよね。
例えば
イラストの塗りができた方が良い
Adobeイラストレーターでキャラクターを作れた方が良い
差分が作れた方が良い
キャラクターを動かせた方が良い
と、こんな感じです。
できることが多いほど会社員としては価値が出ます。
仕事で何を使うかの決定権は社長だっり、プロデューサーだったり、ディレクターだったり、デザイナーチーフだったりするわけです。
その人たちがAIを使わないと言えば使わない。使うと言えば使わなければならないということです。
それが会社員のデザイナーの宿命なんですね。
それが嫌なら独立するしかないんですね。
ですので、会社員デザイナーを目指している人は最新技術を勉強しておいた方が何かと有利でしょう。
フリーランスのイラストレーターのようなイメージ商売ではないんです。
ここ、勘違いしている人多いですよね。ごっちゃにしない方が良いです。
ということで、会社員のデザイナーを目指している方は色々と使えるように勉強しておいて損はないはずです。
当然デッサン力などは必要ですので、デッサン力は最優先で鍛える必要はありますけどね。
今回はさらっとゲーム会社でAIは使われるのか、ということを話してみました。
まあ、現状の私の感想なんで、時代が進めばまた変わってくるかもしれませんので
情報は更新して行った方が良いですけどね。
それでは、みなさん良い1日を



コメント